2017.8.29 Market Information

「アートの価格」どう決まるか知ってますか?(その②)

アートの価格

「アートの価格」はどう決まる?(その①)の続き

草間彌生さんを例に

作品の価格の変遷を1人のアーティストで見てみましょう。

私がとても尊敬している女性アーティスト、草間彌生さんです。近年、彼女を追いかけたドキュメンタリー映画が公開されたり、彼女がデザインしたイタリアの人気ブランド・フェラガモのマリーサバッグが発売されたりと海外でも国内でも大活躍です。

草間さんは70年代からニューヨークで活躍し、彼女が使い始めた「オブセッション(強迫観念)」や「サイコソマティック(身体医学)」といった言葉やソフトスカルプチャー、オールオーバーな展示などは、のちにクレス・オルデンバーグやアンディ・ウオーホルが彼らの作風としたと言われているほど当時のアメリカのポップアーティスト達に大きな影響を与えた現代アート界のスターでした。

もちろん作品は売れていました。おそらく、当時はドルの価値が現在とは違いますが、30万円から150万円の間くらいであったと思います。

再評価と価格の高騰

その後、日本在住になり、活躍はしていたものの、価格に大きな変化はありませんでした。

しかし、93年の第45回ヴェネチアビエンナーレ日本館代表と98年のロサンゼルス・カウンティミュージアムから始まったアメリカ主要都市を巡回した大回顧展によって、再評価が始まり、あっという間に圧倒的な評価となりました。

こうなると桁が1つ、2つと上がっていき、ロンドンやニューヨークで開催されるサザビーズやクリスティーズの両オークションでも、もっとも高額な価格で取引されている日本人アーティストになりました。

例えば、草間彌生の代表的な作品「インフィニティネット」を見てみましょう。80年代後半にはすでに800万円から1000万円くらいでしたが、その後、2000年には5000万円から8000万円以上になっています。

最近の彼女のこのシリーズの価格は大きさにもよりますが、1億円を超えています。国際的に活躍しているアーティストは強いのです。

92年、草間さんの大きな展覧会が青山の草月美術館で行われました。その時、草間さんはスピーチに立ちました。パーティー会場に集う人々をゆっくりと見つめ、それから「こんなにたくさんの人が集まってくださったのだから、私は明日からも一生懸命に作品を作ります。本当に一生懸命にやります」と言い切りました。

その飾り気の全くない魂の言葉に触れ、私は不覚にも涙がこぼれてしまいました。私がアーティストのスピーチで涙を流したのはあとにもさきにも草間彌生以外にはいないのです。

若手買い、産地直送買いのススメ

もちろん草間さんのケースはスーパースターの誕生話なので、一般化するのは適当ではないかもしれませんが、今でも、私達のまわりには、超難関の国立美術大学である東京藝術大学の入試を突破し、卒業して、1ヶ月間制作に打ち込み完成させた作品が10万円~20万円という将来の草間彌生を目指す若手アーティストがたくさんいます。

そうです。アートの値段ということを考えれば、若手買い、産地直送買いが絶対にオススメです。

世界中で一番早く見ることが出来ますし、海外の作品を日本で買う場合のように、輸送代が加算されることもありません。

毎日のように展覧会が行われている日本では、まだ無名でも世界ではそれなりに評価されているアーティストの作品も、あまり日の目をみないままどこかのギャラリーの壁に収まっています。

また、アーティスト達と直接のコミュニケーションをとることも可能です。草間さんのトークショーに足を運べば、作品に対しての質問にも彼女なら答えてくださるはずです。ギャラリーと親しくなれば、アーティストを誘って食事に一緒に出かけることもできるでしょう。ビジネスマン同士の会話とはまったく違う話題にきっと魅了されると思います

本当に気に入った作品を選び、そのまま、ずっとオフィスや自宅にその絵を飾っておけば、アーティスト達の活躍によって、価格は必ず上昇していきます。作品を気に入り、飾って楽しんで、将来は子供や孫が受け継いでいく。倉庫の奥深く保管され、なかなか表に出てこない巨匠たちの作品よりも、幸せな作品の形がそこにあります。

(文:山口裕美)

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