2017.10.19 Market Information

自宅にアート、10万円から始めませんか?

Art

あなたのアート予算は幾らですか?

身近な人々に、アートを自宅に飾るということに予算はどれくらいと考えているのか、アンケートしてみました。

すると、やはりまずは10万円という予算のラインが出てきました。10万円以内なら、比較的購入の決断をしやすい、とのこと。さらに30万円以内、50万円以内、100万円以内、という段階があるようです。

私は著書の中で、働く女性がファッションに注ぎ込む額を調べたことがありますが、化粧品やファッション小物が5万円以内、ブランドバッグは15万円から30万円でした。特に自宅通勤をしている方は、かなり余裕があり、お洒落にお金をかけているという話でした。

ジュエリーやエステにもお金をかける傾向が強く、美に対しての支出が多いようです。家賃を支払っている女性でも、家賃が折半できれば、あるいは彼とのダブルインカムになれば、ぜひアート作品を購入してみたい、という希望があるようでした。男性も同じかもしれませんね。

そういう潜在的なコレクター達におススメしたいのは、アーティストのマルチプル(同じ作品を複数、限定で作ったもの)やアートフェアなどで小品を探すことですが、予算がどんなに少なくとも、本当に欲しい!という意志さえあれば、実はアート作品はけっこうかんたんに手に入れられるのです。

アート作品を手に入れるのは簡単!

例えば、ギャラリーではカードでの支払いもOKですし、分割での支払いも問題ありません。交渉次第では利子分を免除してくれるケースも少なくありません。

さらに、ギャラリーとの信頼関係ができれば、余裕のない月には1万円、余裕のある時には5万円といった変則的な支払いも受け入れてくれます。売る側がそうしたことを理解してくれ、こちらも理解して買うという商品はアート作品だけだろうと思います。

ギャラリーもアーティスト自身も、本当にその作品が欲しいという買い手の気持ちを重視しますし、本気度を見るからです。

 

コレクターからのアドバイス

 

さて、アートに興味を持ち、アート作品を買ってみようかなと考えている皆さまの参考に、ビジネスマンコレクターの大先輩で、コレクター仲間で作る「美楽舎(びがくしゃ)」を主宰している澤登丈夫さんに会ってお話を伺ってきました。

澤登さんは化学系企業でバリバリと働かれ、現在は社会に大きく貢献するようなベンチャー企業、株式会社CANGO(ガンの創薬開発)を率いておられる方です。

澤登さんが主宰する美楽舎は、1990年に発足し、20年間に200回を超える定例勉強会を続け、会報も毎月発行しています。勉強会に限らず、有志で展覧会を一緒に見に出かけたり、アーティストのアトリエ訪問をしたり、会員が収集品を持ち寄って貸し画廊で開く「マイコレクション」展も行っています。美術評論家とは違った視点での作品批評には、定評があり、アーティストの信頼も厚い、ユニークな活動を行っている団体です。

澤登さんがコレクターになるきっかけは、今では伝説の画廊となっている南画廊の故・志水楠男氏との出会いでした。南画廊はかつて日本橋にあった現代アートを扱う先駆的ギャラリーで、60年代のポップアートや当時のヨーロッパのアーティストの作品などをいち早く日本に紹介したギャラリーです。

澤登さんのお母様が志水さんと親戚であったことから、ギャラリーに足を運ぶようになり、初期のサム・フランシスや加納光於などを購入するようになりました。志水氏が言った「ギャラリーは選ばなければダメ」という言葉を教訓として生かされているそうです。

 

日本経済新聞にアートオークションの結果を

 

「僕は、日本の現代アートがもっと発展するためには、たとえば日本経済新聞などが、株価と同じように、アートオークションの結果を掲載すればいいと思っているんです。海外の新聞はオークションリザルト(結果)を掲載しますし、例えば話題のアーティストであるダミアン・ハーストの新作については経済紙がリポートする。日本の新聞も日本人アーティストの作品価格がある程度、わかるようにしておいたらいいと思います。」

澤登さんによれば、現在のアート市場は4兆円のビジネスで、世界的オークション会社、クリスティーズとサザビーズ双方の売り上げは1.5兆円にもなっているそうです。日本国内のオークション会社になると300億円程度、とのことですが、私は経済新聞でリポートする価値は大いにあると思います。

 

アートに正解は無い、わからなくて良い

 

アートには正解がないし、答えもないってことを考えさせられます。アートがわかる、と言う人もいるけれど、本当はわからなくていい。『こういう気持ちを表していると僕には思える』って程度でいい。

勉強の学力とは違う糸口があるんですよね。アートはさまざまな価値観やさまざまな解釈を許す。それこそが面白さなんじゃないかな。

日本のビジネスマンも会話の中で『日本のアーティストをどう思う?』くらい言えないともったいないですよ。」

他にも、アート作品に触れることが出来るように美術館やギャラリーも開館時間を工夫する等、実際にアーティストに会える機会を作るというような努力をするべきではないか、といった意見を熱く語っていただき、深く共感しました。

澤登さんのような方が増えていけば、現代アートへの理解も深まり、その先には、現代アートが日本の中で発展する道が繋がっていくように感じました。定年後のことを考えてみても、ギャラリー巡りや美術館めぐりのことを考えると楽しみばかり、とのこと。先輩の言葉はリアリティがあり、長い経験に培われたノウハウは実践的で示唆に富んでいました。

ある程度の予算の中で審美眼を磨きながらコレクションしてゆき、10年後、20年後にさらに自分の中で楽しめる、そういう趣味がアートなのだと実感させられました。今後の美楽舎の活動も楽しみです。

(文:山口裕美)

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